難民受け入れ説明会に行ってきた

(注)quagmaさんから批判を受けた点について、とりあえず追記で説明をしましたがその後考慮の上、やはりその表現は差別的で問題があると判断したため削除、修正しました。体験談ということで私の主観的印象をそのまま書いてしまいましたが、少なくとも客観データをもって語るべき内容でした。不快に思われた方、また該当の人物に謝罪します。 

 

 先日、私の住んでいるところではないが難民受け入れについての説明会があったので行ってみた。それについて報告する。特別に記録を取ったりはしていないので質疑応答は記憶によるものである。

 

 説明会があったのは、郊外にある人口2万人足らずの地区。大きな商業地もない住宅地である。区議会選挙での得票率はメルケルのキリスト教民主同盟(CDU)約40%でトップ、社会民主党(SPD)と緑の党が約30%である。なお現政権はCDUとSPDの2大政党の連立政権である。

 外国人比率は約9%、難民/難民申請者(以下「難民」は申請者含む)は1%強。その内訳はシリア35%、アフガニスタン20%、イラン、アルバニア9%等である。年齢構成は17歳以下が26%、18から29歳が37%、残りがそれ以上、男性比率は60%、難民全体の約75%が家族で残りが単身者である。

 会場はドイツの高校であるギムナジウムの大教室。参加者は200から300人位だろうか、座席は全て埋まっていて私は後れてついたので立ち見だった。壇上には区長、警察地区長ほか難民受け入れコーディネーターと建設/環境、住民サービス担当者、教会系社会奉仕団体代表、警察以外は女性だったそれに難民代表としてシリア人男性。私から見えた範囲で参加者の殆どはドイツ人、中東系と思われる人が数人、アジア人は私一人のようだった。

  コーディネーターから住民によるこれまでの援助、寄付に対して感謝の辞があり、難民用の住居の構成、立地等の報告の後、難民代表のシリア人男性が自己紹介、挨拶、援助に対する感謝を述べた。ダマスカス近郊出身で40代で妻と子供が3人いたが娘の一人は亡くなった。「ドイツ社会のルールを守り地域になじんで行きたい。」

 警察による治安状況についての報告。難民同士の喧嘩、万引き、騒音などのトラブルがあったが、軽微な犯罪であり犯罪率は非常に低い「0.1%のオーダーに過ぎない。」 コーディネーターによれば他に住民とのトラブルとしてはゴミの分別がある。「アフガニスタンから来た人には、何が再生可能で何がそうでないのかを区別するのは難しい。」

 その後質疑応答に移る。

最初の質問者男性は数ヶ月前にこの地区に家を購入。最近近くの家に難民が来ることを知った。もっと早く知らせることはできなかったのか。「知っていたらここに家を買わなかった。」 

できるだけ迅速に情報を与えるようにしているが、状況の変化によりなかなか難しい。

 

難民代表のシリア人男性について「あなたの家族はどこにいるのか。」

まだダマスカスにいる。旅が危険なので残してきた。

 

どのような難民が来るか選択することはできるのか。

できない。州によって人数が割りあてられ、どこ出身の難民か、また家族なのか単身者なのか等は分からない。

 

施設への難民の割り当てはどうしているか。

一軒家には家族が入れるようにし、その他国籍、宗派等を考慮して割り当てているが、思う通りには行かない。コーディネーターによれば、難民同士の争いは異なる国籍、宗教のものの間より、同国人で「馬が合わない」ので起こる場合が多い。他異なる宗教の難民を受け入れているホストファミリーの方からも彼らの間で問題はないとの発言

 

景観保護地区にも収容施設ができるようだが。

できるだけの配慮はする。

 

難民支援の費用はどこから。

州からの援助がある。今のところ税金アップの予定はない。

 

その他、小学校のクラスの保護者代表から、学校近くの難民施設の予定についての質問、インテグレーションのための語学コースの状況、講師は十分いるのか、難民申請の可否が判断されるまでの時間は、等の質問があった。やはり特に単身の若い難民について不安を感じている印象を受けた。最初の質問の男性以外に明確に難民への偏見を出していた意見が次の2つである。

 

50歳前後の男性、職業は医師。「ゴミの分別に問題があるなどといってるが、もっと大きな問題だ。私は難民の若者が何もせずぶらぶらしているだけを見たが、それはけしからん。彼らは何をしているのだ。」会場から拍手。

→区長は、それが問題だというならドイツ人の若者だって同じだろう。コーディネーターから申請中は労働許可は出ない。彼らだって働きたいと思っている。他の参加者から、彼らは何もしていないわけではない。カフェで我々とコミュニケートしたり、地元のスポーツクラブに参加したりしている、あなたも我々と一緒に彼らと交流するべきだ。

医師はさらに「そんなものは単なるエピソードで仕事ではない。仕事というのは1日8時間きちんとしなければいけないものだ。」

→難民のホストをしている女性から、彼らが経験してきた酷い出来事のことを考えれば、そんなにすぐに日常に戻ることはできない。彼らには時間が必要だ、との意見。

 

先程の医師にオーバーなジェスチャーで拍手をしていた中年男性がいたが、その隣の奥さんらしき女性が質問。「警察は軽微な犯罪だけだと言ってるがそんな事はない。報道によればこの地域で空き巣などが大幅に増えている。」

→警察から、それに対して既に対策が取られ特別チームも結成されて容疑者も逮捕し封じ込めに成果を挙げている。そしてそれは難民の増加とは何の関係もない。容疑者の国籍も南アメリカや東欧でこの近辺に居住してるのでもない、との回答。その後すぐその夫婦は会場から出て行った。

 

 医師の発言には呆れた。「労働すれば自由になる」(アウシュビッツ入り口に掲げられていた標語)という訳だろうか。難民申請者が働けない事も知らないでそんなことを言ってるのだ。日本に政治難民として移住する事を勧めるべきだった。また後者の夫婦の意見はPEGIDAやAfD支持者に典型的な偏見である。彼らのようなタイプが手に手を取って難民に対する偏見を育てているのだ。

 勿論彼ら以外にも難民受け入れに懐疑的な人はそれなりにいたのは医師に対する拍手からも分る。だがそれに反対する意見を述べた人に対する拍手の方が大きかったことも確かである。また年配の方のほうが難民受け入れに積極的な発言が目立った。