ベルリン少女像の解説文

 公式にはベルリン・ミッテ区のフォン・ダッセル区長は、少女像の解説文の表現に問題があることを設置許可取り消しの理由としているが、そのテキストをコリア協会がFacebookで公開していたのでその翻訳を挙げておく。

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ベルリン・ミッテ区 少女像解説文

(訳)第二次世界大戦において日本軍はアジア・太平洋全域で数えきれない位の少女と若い女性を性奴隷制度へと強制しました。この平和の像は、これらのいわゆる慰安婦達の苦しみを記憶に留め、1991年8月14日に沈黙を破り、その様な犯罪が繰り返される事に世界的に反対する生存者の勇気に敬意を表すものです。

 

 ハンブルグでの展示の際のテキストは以下である。

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ハンブルグ・少女像解説文

(訳)この「平和の少女像」は、第二次世界大戦中日本軍によってアジア・太平洋全域でいわゆる「慰安婦」として軍売春宿で性奴隷制度へと強制された数十万人の少女と若い女性の苦しみを記憶に留めるものです。

女性に対する暴力が時代や地域を超えたものであるのに応じて、その記憶と警告に限界があってはなりません。この記念碑はこの非人間的な制度化された戦争犯罪の犠牲者の追憶を通じて世界中の性暴力の全ての犠牲者との連帯のもとに平和を呼びかけるものです。


 ハンブルグでは、日本領事はこれに「多くの誤り」があるとして抗議したが内容についての議論を拒否した。ベルリンのケースでもこの短い記述の中のどこに問題があるのかは不明である。日本政府としては「性奴隷制度」という表現を問題視しているのだろうと推測できるが、ドイツ側がそれを問題視するならそもそも性暴力一般ではなく日本という特定のケースだけを取り上げているという非難は当たらない事になる。すると、日本軍を主語としている事ぐらいしか考えられないが、性暴力一般に反対するのに個別例を挙げてはならない、という論理は成立しない。また、他のケースを全て網羅しなければならないというのは告発を無効化するおなじみの詭弁である。

 

 現在は裁判所の判断待ちの状態でまだ先行きは不明だが、ミッテ区の社会民主党、緑の党は設置継続を支持しており、左翼党は恒久的な設置を支持している。

www.linksfraktion-berlin-mitte.de